第301章

空が沈み、あたりはすっかり暗くなっていた。

 夜八時、双橋の下。

 羽澤哲也が着いたとき、丹羽光世は案の定もうそこにいた。

 警察署の前で、丹羽光世は羽澤哲也に「今夜ここで会おう」と、それとなく示していたのだ。

 羽澤哲也が島宮奈々未の「脚を折られた件」を問いただすのは、これが初めてではない。奈々未には借りがある。そのしこりを、このまま抱え続けるわけにはいかなかった。

 丹羽光世は両手をポケットに突っ込み、橋の縁に立っていた。沈んだ目で、夜と同化しそうな気配をまとっている。

 羽澤哲也は車椅子をすべらせるように近づき、タイヤに手を置いたまま丹羽光世を見上げた。

「丹羽殿。わざわ...

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